高3の秋−決意編
高3の夏だったろう。レスリング部の顧問が「摂、卒業したらどうするんだ?」。要は大学でもレスリングをやるのか?って事。しかし、その時の俺にはそんな気は毛頭無く、調理の専門学校に行きたいと思っていたので、その旨を素直に伝えたのだった。
インターハイに出れなかったってのもあったのだろうか…?
まぁでもやっぱ最後は飾りたいよな!ってんで、頑張って国体行きの切符を手に。
今思えば、この国体行きがターンニングポイントだったんかなぁ…。
国体は、フリースタイルとグレコローマンスタイルに分かれるんだよね。必ず分けないといけないみたいで、フリーで上位に入れそうな選手はそのままで、無理だべ?ってのはグレコに…。
まぁ実際のその選択はどぉしてそぉなったのか知らんが、当時はそぉ思い込んでいたのよ。
俺ん中では「フリーで優勝してやる!」って考えだったし、その力はあると思ってたのよ、思い上がりだったかも知れんがね。それがだ!「摂はグレコな!」の一言でバッキャロー!って。反抗したよぉ、無言で…。強化練習で大学行ってもやるのはフリーの練習のみ!そこで強さを見せれば変更になるべ!って考えだったんよね。
しばらくそんな無言のアピールが続いたある日、先生が寄ってきて、「摂、何でグレコの練習しないんだ?グレコはセンスがない奴には出来ないんだぞ?」。
練習?俺はフリーが良いんだよ!な〜にがグレコじゃい!
ってふて腐れたのも束の間…。何ぃ?センスがないと出来ない?んん?って事は、グレコをやれって言われてる俺は…センスあんじゃ〜〜〜ん!!なんだよ、それ先に言ってよ〜〜ん!グレコ?やるやる!
ってな具合であっさり、やる気無し男から、やる気みなぎり男に!
そこからはグレコ一本!で、ここでまた人生を変える出会いが。
国体強化合宿に、ロス・ソウルの金メダリスト「宮原厚次」さんが特別講師で来られたのだ。
最初は「何だこのおっさん!」ってスパー挑んだら、やられる事やられる事!空気投げみたいにポンポン。吃驚したよ、その得体の知れない強さに。でもさ、怯まずに毎日何回もスパーお願いして、やられてもガンガン食いついたのよ。したら最終日、皆が整理運動してる時に宮原さんに呼ばれて、首投げを教えてくれたの。で、最後に、「やる気があるなら自衛隊に来ないか?強くなるぞ!」ってお声を掛けてくれたの。
最初は「え〜自衛隊?やだよ〜、きつそうじゃん!」って思ったの。
で、練習を繰り返し、国体当日。1回戦はフォール勝ちしたものの、2回戦目でボロ負けした。悔しかったなぁ…。情けなかったし。はぁ〜俺の青春も終わりか…何てしみじみしてたら、思い出したのよ、宮原さんの言葉を。「自衛隊に来ないか?」ってのを。
暫くして、大学の話しもあったが、紹介してくれた顧問には悪かったがすんなり断って、自衛隊行きます!ってね。
ぜってぇ強くなって見返してやる!って、俺の腹、決まったのよ。
ホント、グレコの話が無けりゃ宮原さんにも出会えず、宮原さんに会えなければ今の俺は無く…。
運命だったんかなぁ。
高3の、秋の出来事でした…。